謎の痛み(老親と楽しく暮らす3)

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○月×日

朝がきた。
このごろ、朝になると「今日の母の元気度はどのくらいだろう」と考える。
私の部屋がある2階から1階に降りたとき、真っ暗だったら調子が悪い証拠。
今朝は、降りたと同時に明かりがついた。
兄に手すりを付けてもらったから、にこやかに起きてくる母を想像していたが…。
ノソノソと起きてくる母は、元気がない。


「手すり、どうやった?」
「え?(耳が遠い)」
「手、す、り」
「…(反応も鈍い)ああ、今朝は使わずに何とか時間かけて起きた」


あら。それならよかったやん。
なぜ浮かない顔?

起きるのに時間がかかること。
起きてからも、あちこちが痛くて思うように動けないこと。
近年は落ち込みやすい傾向にあったけど、身体は丈夫でシャカシャカ動けていただけに、動けない自分に苛立ってしまうのだろう。

自宅リハビリの手助けをしたり、痛いところをさすってあげたりしても、
「ありがとう…もういいよ」
と言って、すぐにやめようとする。

午前中は、思いつめたような顔をしながら、休み休み家事をする母。

お昼に、近所のスーパーに買い出しに行こうと誘うと、ちょっと元気が出てきた。
今日は晴れて暖かくなったから、気分も明るくなったみたい。
朝と比べると身体も動くようになり、ホッとする。


○月×日

ここのところ、毎朝「なんとか起きられた」と言っている。
悪くはなってないってことよね。
今度こそ回復に向かってるといいなあ。

明日は診察日。
前回のように、4時間も病院に滞在したくない。
だから、早朝から予約を取りに行こう(当日じゃないと予約が取れず、電話では9時にならないと受け付けない。直接窓口に行けば7時前から受け付けている)。

母「じゃあ、診察には私が1人で行けばいいね」
私「え?Σ(゚Д゚)いや、私が行かんとやり取りできんやろ?」
母「…この前、あんたも先生とやり取りしたっけ?」

え?Σ(゚Д゚)
あんた「も」じゃなくて、ほとんど私がやり取りしたんですけど…。
「あんたがいてくれて良かった。ほんとに良かった。私1人じゃどうしようもなかった」
って、あの後10回くらい言ってたのに。
そうか、それも忘れたのか…。

そして、診察受けたくないとぼやいている。
ううむ…明日、スムーズにいくといいなあ。


○月×日

整形外科の受診日。
またしても「1人で大丈夫なのに」という口調の母。

しかし、実際に行くと1人で着替えられないし、お医者さんをはじめスタッフさんの言うことがイマイチ理解できない、聞こえない。

「やっぱりあんたに来てもらってよかった」
と何度も言う。
でもそう言ったこともまた忘れるんだろうな。

今日は別の病院を紹介される可能性もあったけど、それはなかった。
また「様子見」だって。そして1週間後にまた診察。
来週は別件の通院もある。

それは(それも)1人で行くと言っているが、そろそろそちらも付き添いが必要になるかなあ。
父が
「僕が付いて行ってやろう」
と言うが、いやいやいやいや…。
母以上に足取りがおぼつかない父が付いて行ったら…。
ろれつも回らないし、怒りっぽいし。

わたくしがお供しますよ。
そのつもりでいよう。


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